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データフラッシュ

情報を「届ける」難しさ

 総務省情報通信政策研究所は、過去30年間に渡って国内の情報流通量を計量してきた「情報流通センサス」を、新たな情報流通量指標である「情報流通インデックス」として更新し、平成13年度以降のデータを計量・公表している。今回のデータフラッシュでは、昨年8月に公表された平成13年から21年度分のデータの計量結果をもとに、現在の国内の情報流通の実態を見てみようと思う。

1.身の回りに「あふれる」情報

 グラフ1は、国内に1年間に「流通」した情報量と、実際に「消費」された情報量の推移を表している。これによると平成13年から21年までの8年間に、世の中に流通する情報の量は約2倍に膨れ上がっている。近年は特にその伸びが大きく、17年度の情報流通量が13年度比で113.8%であったのに対し、翌18年度の情報流通量は前年ベースで114.0%と、この1年間での増加率がそれまでの5年間を超える勢いとなっており、続く19年度には前年比119.9%、20年度には同119.5%、21年度は同106.9%というハイペースでの伸びを見せている。
 一方、情報の「消費」量に目を転じてみれば、13年度から21年度までの間での増加量は1.09倍と、ほぼ横ばいの推移となっている。総人口にも変化が見られないことから、一人あたりの情報の消費量は現在飽和状態に達していて、今後も総消費量は劇的に伸びるものではないと見ていいだろう。つまり流通する情報の量が勢いを増しながら膨れ上がっているのに対し、消費される情報量が頭打ちとなっていることがわかる。このような情報の「流通過多」の状態は、情報の送り手側からの見地に立てば、自らが発信した情報が消費される確率が低下しているのであり、より受け手にその情報が「届く」ことが難しい世の中になっていると見ることもできる。

グラフ1 各情報量の推移(平成13年度=100とした場合)

単位:%

※E+○○とは、10の○○乗の意味

2.インターネットでより顕著な傾向

 続いて、情報の流通・消費の実態をメディア別に見てみよう。「情報流通インデックス」では、情報の運搬役としての代表的なメディアを表1のようにグループ化し、計量対象としている。各メディアグループにおいて流通する情報の「量」を見てみると、「放送」が突出して多く、全体の流通情報量の推移も「放送」に拠る部分が大きいことが見て取れる。ただ流通する情報量の「増加率」で見ると「インターネット」がとび抜けて顕著な傾向を見せていることがわかる(グラフ2)。
 「インターネット」の21年度の流通情報量は、13年度比で約71.7倍となっており、それに次ぐ「郵便等」(同約2.6倍)、「放送」(同約2.0倍)と比べても飛びぬけたスコアである。一方の消費情報量をみると(グラフ3)、13年度から21年度の間に2.3倍と増えてはいるものの、流通量の増加率の比ではない。その上21年度の消費量は前年比で約82%と減少している。つまり「インターネット」においては、流通する情報量と消費される情報量のギャップが他のメディアグループに比べて急激に広がっているのであり、さらに今後ますますその傾向が顕著になっていく気配がある。
 インターネットにおいて情報の流通量と消費量のギャップが広がっているこのような状況を計算してみると、インターネット上に、ある情報を投下した場合、21年度においてそれがユーザーに「消費」される可能性は、13年度における同可能性の0.046%となっている。これを単純に情報投下量の増加という対策で13年度と同等まで回復しようとすると、総流通量に占める自らの情報シェアを現状の約2,165倍にまでも増やす必要があることになる。

 近年、インターネット広告市場が伸びを見せている(グラフ4・電通「2011年 日本の広告費」)。ROIの検証が容易で、また顧客情報管理を基にした細やかなコミュニケーションが可能など、確かに広告媒体としてインターネットは魅力的なツールである。ただ、インターネットは情報取得のスタイルとして、検索などによって能動的に情報を「引き出す」メディアだ。つまり情報の発信者は、ユーザーに自らの情報を「選んでもらう」ことで情報伝達を達成する。そのような特徴を持つ媒体においてユーザーに情報を確実に届けるには、上に述べたような情報の流通過多が今後さらに進行するとなると、情報発信者にはより高度なノウハウが求められるようになっていくだろう。

 
表1 「情報流通インデックス」におけるメディアグループ分類
情報通信系 電話 インターネット 放送
固定電話 インターネット 地上波テレビ放送
IP電話   衛生テレビ放送
携帯電話   ケーブルテレビ放送
PHS   地上波ラジオ放送
輸送系 郵便・信書便・メール便 印刷・出版 パッケージソフト
はがき 新聞 音楽CDソフト
封書等 雑誌 ビデオソフト
メール便 書籍 ゲームソフト
  フリーペーパー  
  折込広告  
グラフ2 メディアグループ別流通情報量の推移(平成13年度=100とした場合)

単位:%

グラフ3 メディアグループ別消費情報量の推移(平成13年度=100とした場合)

単位:%

「インターネット広告費(媒体費ベース)の推移」

単位:億円

(電通「2011年 日本の広告費」より)

(東京・企画マーケティング部 藤井淳一)

参照データ
情報流通インデックス(総務省情報通信政策研究所調査研究部)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000124276.pdf
2011年 日本の広告費(電通)
http://www.dentsu.co.jp/books/ad_cost/2011/about.html

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