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031号(2012年1月公開)

データフラッシュ

大学生1,000人にきいた
『震災後の日本と、自分の将来』に関する意識調査
 今回は大学生意識調査プロジェクトが実施した「大学生1,000人にきいた『震災後の日本と、自分の将来』に関する意識調査」(協賛:(社)東京広告協会)の結果を紹介する。大学生意識調査プロジェクトは、首都圏の広告やマーケティングを学ぶ大学生の有志団体で、同じ大学生を対象に自分たちで調査の企画から設計、分析までを行う。17回目にあたる今回は「ポスト3.11の日本と、大学生」をテーマに、現在の大学生の「日本」に対する意識を探った。
1. 今の大学生が愛着をもつ「日本」らしさ
 図-1は現在の大学生の日本に対する好意度についての調査結果である。調査対象者のうち約半数の49.1%が「大好き」だと回答しており、「やや好き」も含めると95.4%とほとんどの大学生が「日本が好き」としている。10年前の2001年度調査では「大好き」が38.9%、「やや好き」を含めても88.5%であり、「日本」に対する愛着をもっている大学生が10年前と比べて増えているという結果となった。
 これには様々な原因が考えられる。9.11後にアメリカの愛国主義が高まったように、未曾有の国難といわれる東日本大震災に遭遇し、ナショナリズムを刺激されたのかもしれない。または2002年度に新学習指導要領がはじまり「国を愛する心情」の育成が小学6年生・社会科における学年目標の一つに加わった。当時の小学6年生は現在21歳と正に大学生世代となっていて、その指導要領改訂に一定の成果が出たと考えることも可能である。
 では具体的には、日本のどのような点について長所だと感じているのだろうか。図-2で見られるように、日本の誇れる点としてもっともスコアが高かったのが「食文化(98.6%)」、次いで「コミック/アニメ(97.9%)」、「伝統芸能(97.8%)」などが高スコアでつづく。「スポーツ選手」が94.0%と高かったのは、調査時期を考えると「なでしこジャパン」の影響もあっただろう。 ここでこの結果を01年度調査と比較すると、ほとんどすべての項目でスコアの増加が見られたことがわかる。特に「医療」「IT化の進展度」「ファッション」「自然」「国際社会への貢献」「環境問題への取り組み」「住宅事情」といった多くの項目で10ポイント以上の上昇が見られ、逆に「教育水準」では急激にスコアが低下、「政治家」もスコアを下げるなど、現在の大学生が日本のどこに問題点があると感じているのかがわかる。
 ここでは、調査対象者である大学生が「日本」の誇れる点について考えるとき、意識的・無意識的に関わらず比較対象としてどの国を想起するのかがスコアの大きな変動要因となり得る点も考慮したい。01年度調査時には「日本の誇れる点」を考える時、比較対象として無意識的にアメリカやEUなど欧米諸国を想起する学生が多く存在したかもしれない。しかしこの10年の間に「BRICs」という言葉が一般化するなど新興国の存在感が高まり、なかでも特に「中国」は、現在GDPが世界第2位になるというめざましい成長を遂げている。そうした世界の勢力図の変化が、調査対象者が想起する比較対象に変化をもたらし、大きなスコア変動につながったと考えることは可能だろう。
 次に図-3を見ると、現在の大学生は「日本人」が優れている点として「礼儀正しさ」や「勤勉さ」「忍耐力」などを多く挙げている。ここでも01年度調査と比べてみると、30%以上のスコアを獲得している上位項目は、若干の順序の変動はあるものの、その種類に変化はない。ただ今回はその中でも「礼儀正しさ」「忍耐力」「控えめ/つつましいところ」「協調性」「仲間意識の強さ」といった項目で大きなスコアの伸びが見られたのが特徴的だった。これは東日本大震災を経験したことで、こうした日本人の気質をあらためて見直した人が多かったからだと考えることはできる。震災によって甚大な被害を受けた後も、日本人は暴動も起こさず社会秩序を保ち、苦難に耐えながら互いに助けあっていると海外メディアから称賛を受けたことは、日本国内でも大きく報道されている。
図-1  「日本」の好意度
 
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図-2 「日本」の誇れる点(%)
 
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図-3 「日本人」の国民性優位点(%)
 
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2.大学生の描く理想の「日本人」像
 では上記で見られた結果を踏まえつつ、現在の大学生が「日本人」としての将来の自分の姿をどのようにデザインしているのかを見てみたい。
 図-4は「自分自身の性格」についての調査結果であり、ここでは「楽観的」が48.3%と最も多く、「仲間意識が強い(44.0%)」「好奇心の旺盛さ(43.5%)」「協調性(41.9%)」がそれに次いだ。
 また01年度の調査結果との比較でみると「仲間意識の強さ」「社交的」のスコアが上昇している。その一方で「個人主義なところ」「利己的なところ」という項目でスコアが大きく低下している。このことから、大学生は周囲との協調路線を強めているように見える。ただ10年前の大学生が自分を「個人主義(23.3%)」的だと思っていたほどには、現在の大学生は自身を「集団主義(14.8%)」的とは思っていない。周囲の人との「絆」は大事にしつつも、集団に染まるわけではなく、あくまで粒が立った個人として存在しよういう意識があるのだろうか。
 またここでは「自分自身の性格」の高スコアトップ10内に「楽観的(48.3%)」「好奇心の旺盛さ(43.5%)」「感受性の豊かさ(30.8%)」「社交的なところ(30.3%)」といった項目が挙げられているが、これらの項目は「日本人」の国民性優位点としては上位にないものである。また逆に「控えめ/つつましいところ(21.0%)」「勤勉さ(17.0%)」「集団主義(14.8%)」「形式を重んじるところ(13.6%)」といった項目が低い位置にとどまっており、「自分自身」としての性格と「日本人」としての優位性の二者間において、その認識にギャップが存在することが確認できる。
 さらにこのギャップについての考察を進めるために、ここで「自分自身の性格」と「日本人」の国民優位性(図-3)に、さらに「自分自身の身に付けたい能力」についての調査結果を並べて比較した図-5を見ていただきたい。「日本人の優位性」として上位に挙げられている気質のうちで「自分自身の性格」とのギャップが10ポイント以上ある項目の中でも「勤勉さ」や「礼儀正しさ」などはある程度「身に付けたい」と思っている人が多い。しかしその一方で、「控えめ/つつましいところ」や「形式を重んじるところ」「集団主義」「保守的なところ」といった性格についてはあまり「身に付けたい」と思われてはいないようである。また「吸収力の高さ」や「社交的なところ」「ハングリー精神」「積極的なところ」などは「国民性優位点」としてはあまり挙がってこない項目であるが、多くの学生から「身に付けたい」と思われているようだ。このように日本人の優位性と思っている気質にも、自分に身に付けたいものとそうでないものがあり、また現状で国民優位性とは認識されていない気質にも、これから身に付けていきたいと感じられているものが存在していることが確認できる。このような結果を見ることで、現在の大学生の価値観が反映されたあたらしい「理想の日本人像」が浮かび上がってくるのではないだろうか。
図-4 自分自身の性格(%)
 
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図-5 「日本人」の国民性優位点、自分自身の性格、自分自身の身に付けたい能力 (%)
 
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大学生1,000人にきいた「震災後の日本と、自分の将来」に関する意識調査
■調査期間 2011年7月12日~8月2日
■調査方法 アンケート自記入法
■調査対象者 首都圏の大学に在籍する1~4年の男女
■調査大正大学 駒澤大学、上智大学、成蹊大学、専修大学、東洋大学
■調査対象数 1,075
■集計数 800
■調査主体 大学生意識調査プロジェクト(FUTURE2011)
■企画協力 社団法人 東京広告教会
■集計・分析協力 株式会社 東京サーベイリサーチ

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