2019年(第37回)受賞者

●大賞
森永邦彦(ANREALAGE)

●新人賞・資生堂奨励賞
岩井良太(AURALEE)

●鯨岡阿美子賞
鈴木淳(台東デザイナーズビレッジ 村長)

●話題賞
無印良品 銀座

●特別賞
日本環境設計

●選考委員特別賞
小泉智貴(TOMO KOIZUMI)

※敬称略


大賞
森永邦彦/ANREALAGE
森永邦彦
ANREALAGE

受賞のことば

新人賞の受賞から8年、この度は栄えある毎日ファッション大賞を賜り、誠にありがとうございます。

2003年、ファッションの道で生きることを決め、ブランドをはじめました。「日常」と「非日常」を跨ぎ、「時代」と共に服をつくる。その信念が、いつまで経っても変わらないように願いを込め、ブランドには「AN・REAL・AGE」と名前をつけました。まだ誰も「アンリアレイジ」と読めなかった最初の頃、「服は粗いが、アンリアレイジという名前がいい。あなたの魂が込められている。」そう言って、ブランド名に恥じないよう道を進め、と背中を押してくれたのが、昨年他界され毎日ファッション大賞を創設した田中宏さんでした。

その後、「ぶれず、弛まず、あなたの道を」と書かれた手紙が、田中さんから届きました。これまでブランドには幾多の分かれ道がありましたが、迷った時はその言葉に立ち返り、進みやすい道を選ぶのではなく、アンリアレイジとして進むべき道を選び、誰もが通る道ではなく、誰もが通り過ぎてしまうような道にこそ、自分たちの道があると信じて、進んできました。

道は続き、昨年ブランドは15周年を迎えることができました。その節目にはじめて辿ってきた道を振り返るべく、東京で一日限りのショーを発表しました。テーマは「A LIGHT UN LIGHT」、この道に訪れた全ての光と陰を服に込め、最新の服から15年前につくった最初の服までを、時間を巻き戻すかのように全100ルックを通じて遡りました。振り返ると、独自の道だと信じて歩み進めてきたこの道には、多くの人が共に歩いた足跡があり、多くの人が血を注いで共闘した痕跡があり、多くの人が僅かな夢を見た軌跡が溢れていました。改めて、アンリアレイジという道は、私たちによってつくられたものではなく、この道を先に繋げようと願った多くの人の祈りによってつくられて来たことを感じる一日でした。

陰がなければ、光はありません。この光を陰で支えてくれている存在があってこそ、私たちの道は続いていきます。この場を借りて、この小さな道に光が射すことを心から喜ぶと同時に、道が途絶えないよう陰で粘り強く支えてくれた全ての人に、この光を捧げたいと思います。

経歴

森永邦彦(もりなが・くにひこ)/ANREALAGE
デザイナー。1980年、東京都国立市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。2003年「アンリアレイジ」として活動を開始。ANREALAGEとは、A REAL-日常、UN REAL-非日常、AGE-時代、を意味する。2005年東京コレクションデビュー。2011年第29回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。2014年パリコレクションデビュー。2019年「LVMH PRIZE」のファイナリストに選出。

ANREALAGE公式サイト
  • ANREALAGE_SS19
  • ANREALAGE_FW19
  • LVMH PRIZE提出作品
新人賞・資生堂奨励賞
岩井良太/AURALEE
岩井良太
AURALEE

受賞のことば

2015年にAURALEEを立ち上げてから、ここまであっという間の5年間でした。

今年は初となるパリでのプレゼンテーションも行い、激動の年となりましたが、このような名誉ある賞をいただき、大変光栄に思っています。

今回の受賞の知らせを聞いてまず思い出したのは、立ち上げ当初から支えてくださっている工場や卸先の皆さま、同じチームのスタッフです。きっと喜んでくれるだろうと思うと報告するのが楽しみで、本当に嬉しくなりました。

関わってくれる人たちが少しずつ増え、当初よりチームも大きくなり、嬉しいことを沢山の人と一緒に喜べるのが何よりの財産だと思っています。いつもサポートしてくださっている皆さまに、心より感謝いたします。

この賞を励みに、変わらず真摯な服作りを続けながら、ブランドの世界観を皆さまへ伝えて行けるよう、一層尽力して参ります。

AURALEEの服を通して、少しでも何かを感じていただけますように。

経歴

岩井良太(いわい・りょうた)/AURALEE
1983 年生まれ。
様々なブランドでパタンナーやデザイナーの経験を積んだ後、2015 SSにAURALEEを立ち上げる。2017年9月には、南青山にブランド初めての直営店舗がOPEN。18年には FASHION PRIZE OF TOKYO 2019 を受賞し、2019AWより、パリファッションウィークにてコレクション発表を開始した。

AURALEE公式サイト
  • AURALEE_FW19
  • AURALEE_FW19
  • AURALEE_FW19
鯨岡阿美子賞
鈴木淳/台東デザイナーズビレッジ村長
鈴木淳
台東デザイナーズビレッジ村長

受賞のことば

この度は鯨岡阿美子賞の栄誉を賜り厚く御礼申し上げます。創業支援というあまり知られていない仕事を評価していただいたことに感謝いたします。

台東デザイナーズビレッジは、台東区によって設立されたファッション分野の創業者を支援する施設。私は村長として2004年の設立時からデザイナー達がビジネスを成長させ、自立していくお手伝いをしてきました。

今でもファッション業界での活躍を熱望し、ブランドを起ち上げる若者は多いのですが、年々市場環境は厳しくなり、事業の成長が難しくなっています。誰にも相談できず将来に不安を感じている者も少なくありません。

弱くても希望にあふれた彼らが自立し活躍できるようになるためには、寄り添い、支え、応援する創業支援の拠点や人材がもっと必要です。ファッション業界の皆様からもお力添えをいただければ幸いです。

最初は小さな創業者かもしれませんが、将来ファッション業界を担う大きな存在になってくれることを信じて、これからも支援していきたいと思います。

経歴

鈴木淳(すずき・じゅん)
1990年 カネボウファッション研究所勤務 
1998年 NPO法人ユニバーサルファッション協会を設立
2004年 台東デザイナーズビレッジ村長(インキュベーションマネージャー)に就任
2011年 台東区の地域イベント「モノマチ」開催、オープンファクトリー活動を推進
2016年 東東京の創業支援ネットワーク「EastsideGoodside(イッサイガッサイ)」発足

台東デザイナーズビレッジ公式サイト
話題賞
無印良品 銀座
無印良品 銀座

受賞のことば

無印良品は、単なる製品の集まりではありません。くらしの些細な断片から地球規模の未来までを見通し、考え抜く気配りの集合体でありたいと思います。無印良品 銀座も、MUJI HOTEL GINZA、MUJI Dinerを含めたすべての機能において、80年代当初より受け継いできたこの思考を実現したものです。
こういった私たちの考え方を、世界旗艦店である無印良品 銀座オープンのタイミングで評価いただけましたこと、大変嬉しく光栄に思います。

無印良品 銀座では、お客様に体験・経験していただくことを大切にしています。
青果売場では、スタッフとの会話や商品につけられたツールから、生産者だからこそ知る美味しい食べ方や食べごろを知ることができる。
家具の売場には、日々の生活の中でふと気になった悩みを相談できるスタッフがいる。
店舗で実体験したコトがその方の想像をふくらませ、それまで気づかなかったものにも想いを馳せるきっかけとなり、生活を今よりも少し豊かにする。
それが、無印良品 銀座が目指す姿です。

「ヒトとつながる」「マチをつなげる」をコンセプトに、たくさんのヒトが自然と集まり、いつでも立ち寄れる公園のような場所であり続けたいと思います。

無印良品 銀座

2019年4月4日オープン。「人と人」「人と自然」「人と社会」のより良い関係をつくるプラットフォームでありたいと考え、この店舗に関わる人たちがそれぞれに想いを馳せたり、実際に出会い、繋がりが生まれる場となることを目指す。生活者の視点で、くらしの基本として本当に必要な商品と本当に必要なサービスを揃え、日本初となる「MUJI HOTEL GINZA」「MUJI Diner」とともに、銀座から世界中に無印良品の考える「感じ良いくらし」を発信。

無印良品 銀座公式サイト
特別賞
日本環境設計
日本環境設計

受賞のことば

「あらゆるものを循環させる」。2007年の創業以来、このビジョンを掲げ、当社はわたしたちの生活において最も身近なモノの一つである服のリサイクルを中心に事業を手がけてまいりました。循環型社会の形成には市民の参加が非常に重要であると考え、気軽に参加できるリサイクルの統一化を目指したプロジェクト「BRING」を企画・運営しています。創業当初は、リサイクルがビジネスになることに疑問を感じられる方も少なくありませんでしたが、当社のビジョンに共感をいただき、実際に取り組みにご参加いただいた多くの企業さま、そして市民の皆さまのご協力のおかげで、今回この「特別賞」受賞という評価をいただきました、この場をお借りして皆さまに感謝申し上げます。
ファッション業界におけるサステナブルな取り組みを推進する事業を評価いただき今回受賞させていただきましたが、近い将来、リサイクルを中心にしたこの取り組みが人々の生活において決して特別ではない存在になるように引き続き精進して参ります。

日本環境設計

2007年創業。リサイクルプロジェクト「BRING」を企画・運営し、服を中心とした繊維製品のリサイクル回収から再資源化、再商品化を手掛けながら、持続可能なサプライチェーンの構築を目指す。綿繊維をバイオ燃料化する技術を軸にスタートしたプロジェクトは現在、繊維製品の約6割を占めるポリエステルのリサイクル化に重点を置き、繊維製品の廃棄処分量と製造工程におけるエネルギー量の削減の実現に努める。

日本環境設計公式サイト
選考委員特別賞
小泉智貴/TOMO KOIZUMI
小泉智貴
TOMO KOIZUMI

撮影:Tim Walker

受賞のことば

この度は、選考委員特別賞という史上初の賞を受賞することができ、大変光栄に思っております。衣装デザイナーとして独学で活動を開始してから8年が経ちました。
個人で活動をする中で様々な迷いや葛藤がたくさんありましたが、諦めずに作り続けることによってNYでの初めてのショーを実現でき、今回の素晴らしい賞を受賞することができたのかなと考えています。
たくさんの人に支えられ助けられてここまで続けてくることができましたし、これから先も周りの方々の助けなくしては続けていくことはできないと思っています。
今年起こったことはゴールではなくスタート地点です。この大きなきっかけを元に、美しいものを作り続け世界に発信していくことが私の使命だと信じています。
国境を越えた活動を、今まで通り楽しみながら続けていきたいです。

経歴

小泉智貴(こいずみ・ともたか)/TOMO KOIZUMI
1988年千葉県生まれ。幼少期より独学で縫製を始める。千葉大学在学中より自身の衣装ブランドTOMO KOIZUMIを立ち上げ、衣装デザイナーとして活動を開始。独特の色彩感覚と、ラッフルを用いたフェミニンかつ個性的なスタイルが特徴。国内外の女優や歌手からの支持も厚く、カスタムメイドのドレスを多く手掛けている。

TOMO KOIZUMI公式サイト
※敬称略